ゴジラ雲140724
「それにしても、わたしが福島の原子力発電所が次々に爆発する映像の衝撃のもと、言葉を探しあぐねながら、ゴジラとナウシカを選んだ直感だけは、誤りではなかったかもしれない、と思う。ヒロシマ・ナガサキからフクシマへと、あるいはチェルノブイリからフクシマへと繋がれる、負のイメージ連鎖は、きっと避けがたいものだ。だからこそ、『ゴジラ』から『風の谷のナウシカ』へと、わたしは思想の道行きを辿らねばならない、と感じている。
『風の谷のナウシカ』、とりわけその漫画版は、まさに21世紀を予言した黙示録的な作品として読み継がれてゆくはずだ。わたしたちはいずれ、この汚染された大地や森や海とともに生きる覚悟を固めるしかない。風の谷という、腐海のほとりに生きる人々の姿は、わたしたち自身によって生きられる現実そのものとなったのだから。
その人達は
なぜ気づかなかったのだろう
清浄と汚濁こそ 生命だということに。(『風の谷のナウシカ』漫画版)
それでも、明日への希望を紡ぐことができるか、という問いが、そこに転がっている。3・11以後のいまこそ、『風の谷のナウシカ』について、本格的に語らねばならないと思う。そのための準備を少しずつ始めている。
福島第一原発から2百キロメートル離れて、もうひとつの腐海のほとり・東京にて――。」
(赤坂憲雄 下記HPより)
【リレー連載/3・11のあとに わたしはそれを読んだ、観た、聴いた……】 『風の谷のナウシカ』(アニメ版) 赤坂 憲雄 | ふくしまの声
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