宮城県考古学会─復興関係調査で拓かれた地域の歴史1古代国家形成期の地域社会・山元町

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平成27年度宮城県考古学会総会・研究発表会(松島町文化観光交流館)
特集:「復興関係調査で拓かれた地域の歴史1
     古代国家形成期の地域社会 −山元町の調査から−」
開催要項
 震災以降かつてない規模ですすめられている復興関係調査の進展により、地域の歴史もより明確に描き出すことが可能となってきています。
 これらの成果は、地域力につながる重要な資源であり、今後の復興・再生を考えていく上でも、被災地の歴史を、新たな視点でより豊かに描き出していく試みこそが、今後必要となるものを思われます。
 こうしたことから、本年度は調査成果が大きく進展している山元町の調査成果をもとに地域社会の歴史を見つめ直す特集発表を実施します。

しだい
1.特集 趣旨説明(東日本大震災対策特別委員会)
調査成果報告1「山元町合戦原遺跡の横穴墓群」(山元町教育委員会)
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(合戦原横穴墓群150308)
下記の虎箱さんの報告がわかりやすい。
「合戦原(かっせんはら)遺跡は、山元町高瀬字合戦原にある遺跡。
集団移転と災害公営住宅の建設事業に伴って事前の発掘調査が行われています。
発掘調査は山元町教育委員会によるものですが、調査には宮城県からの応援職員のほか、山形県岐阜県新潟県奈良県福井県から派遣された応援職員も参加しています。現地説明会はあいにくの雨の中行われましたが、200人近い多くの人びとが集まりました。」
合戦原遺跡現地説明会(宮城県山元町) ( 歴史 ) - 虎箱! - Yahoo!ブログ
調査成果報告2「山元町熊の作遺跡と亘理郡南部の遺跡群」(宮城県教育委員会)
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問題提起「山元町の復興調査成果から古代東北の歴史を考える」(東北学院大学 辻秀人氏)
・「東北地方南部では、弥生時代中期の大災害の後、もう一度、古墳時代の初頭に大きな変動があったのである。」
・「東北南部に東京湾岸地域の人々が移住した結果、東北南部の古墳時代社会が成立した。」
・「総じて、亘理・山元地域の横穴墓には、九州の横穴式石室、横穴の要素が認められる。
今後、この様相をどのように理解するのか、大きな課題となる。」
・熊の作遺跡は8世紀亘理郡衙の可能性が初鹿野氏の発表で示されたことは画期的。
・6世紀末から7世紀初め(「第三の画期」)は、横穴墓の急速な拡がり、土師器に東北独自の形式(栗囲式)がなぜ生まれるのか、(7世紀後半の)官衙の成立に至るこの時期はわからないことばかりである。
(資料集 辻氏の「山元町の復興調査成果から古代東北の歴史を考える」より)
【参考】
・横穴墓
http://repository.ris.ac.jp/dspace/bitstream/11266/4162/1/KJ00000188316.pdf
・画期
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nihonkokogaku1994/4/4/4_4_109/_pdf


門外漢の感想
「復興関係調査で拓かれた地域の歴史」は、今後、数年かけて、沿岸部各地の成果を整理、検討、まとめていくとのこと、辻先生の提起した謎だらけの東北古代史解明の知の喜び、そして「負の遺産」)を歴史文化遺産にじょじょに転化(「震災・災害を越えて」)していく壮大な試みとなる予感がする。

〔懇親・交流会〕会場:海畑(松島町松島字普賢堂13-11) うまい!安い!
(要項は宮城県考古学会HPより)
山元町 の検索結果 - 縁果翁記
『宮城の災害の考古学』(仮称)刊行へ
東日本大震災を契機に、過去の自然災害への関心が高まり、自然災害の調査・研究が歴史学・考古学界でも活発に行われるようになった。宮城県考古学会でも東日本大震災対策特別委員会を設け、「宮城県における津波地震痕跡の考古学的研究」など、整理・検討を行ってきた。
発掘された自然災害の痕跡などから判明する情報を、広く一般に紹介して、社会貢献を図るものとして企画され、会員の教員経験者などから成る準備会で検討されてきた議案が本日の総会で可決されたとのこと。来年春季刊行を目指して刊行特別委員会が設置された。
自然災害史に関わる考古学会からの一般向けのアプローチとしては、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手・宮城・福島三県では初めてとなる有意義な企画。
宮城県考古学会-活動報告

◎『宮城考古学』17号刊行
「特集1 東日本大震災の記録(4)-2014年度-(藤沢敦・及川規・天野順陽・西岡誠司)/特集2 宮城県における津波地震痕跡の考古学的調査2-新たな調査事例から-(黒田智章・川又隆央・山田隆博)/特集3 被災3年を経た文化財をめぐる現状と課題(熊谷常正・藤沢敦・玉川一郎)」
宮城県考古学会
「かわうち今昔物語」・東北大学国際祭りと危機の埋蔵歴史文化遺産 - 縁果翁記

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(『大日本地名辞書を編さんした「知の巨人」吉田東伍』新潟テレビ21 2015 非売品)
学問的業績を分かりやすく伝える試みが活発化してきてきた。


おすすめ本
チームの力: 構造構成主義による”新”組織論
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「まず、「ふんばろう」(東日本ブロ支援ジェクト)におけるビックビジョンは次のようなものであった。
この悲惨な出来事(東日本大震災)を肯定することは決してできないが、
あのことがあったからこんなふうになれたと思うことはできる。
それが、ぼくらが目指すべき未来なのだ

「我々の社会における理不尽の九割は組織によるもので(中略)複雑怪奇化した組織がもたらした、いわば“組織災”というべきものであることがわかってきた。
私が本書で‘チーム’と呼んでいたものは、腐敗した組織のアンチテーゼであり、
個々人の営みと全体の営みが同じ方向を向いている、フラットでしなやかな機能体を指していたのである。」

同感、共鳴、
「内容(「BOOK」データベースより)
一人の人間にできることは限られている。でも、チームを作れば“巨人”にもなれる。チーム作りとは希望を作ることでもあるのだ。「日本最大級の支援プロジェクト」を運営した著者が、独自のメタ理論「構造構成主義」をベースに説く、チームのための新しい組織論。チーム作り、リーダーシップ論、戦略の立て方、モチベーションを引き出す極意、トラブル解消法など、チームの力を最大限に伸ばす原理と方法を明らかにする。 」(アマゾンHPより)

◎西條氏の評価が高い伊那食品工業
伊那食品工業株式会社
社長、塚越寛氏の「名言」
塚越寛の名言 厳選集

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