災害ミュージアムを通した被災経験の語り継ぎと防災・減災(国連防災世界会議・仙台)

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             (3.11津波もハワイに ハワイ太平洋津波博物館発表)
第3回国連防災世界会議「世界災害語り継ぎネットワーク(TeLL-Net)フォーラム:災害ミュージアムを通した被災経験の語り継ぎと防災・減災」に行ってきました(一部のみの聴講でしたが)。各簡潔な発表の背景も知りたく、これらの先進事例を学ぶためのデータを集めてみました。少しでも災害文化醸成推進のお役にたてれば、幸いです。
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                         (アチェ津波博物館発表)
東日本大震災の被害が大きかった東北地方沿岸部においても、今後、震災復興史編さん事業が本格的に開始されるとともに、「災害ミュージアム」が建設され、震災の実像を伝え、「被災経験の語り継ぎと防災・減災」活動が子々孫々まで続けられていくことを改めて強く望みます。
人と防災未来センター、『阪神・淡路大震災復興誌』全10巻をPDFで公開 | カレントアウェアネス・ポータル
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【開催趣旨】(人と防災未来センターHPより)
「世界災害語り継ぎネットワーク(TeLL-Net)は、大災害を経験した世界各国の被災地において、被災経験を忘れることなく語り継ぐための活動を展開する団体間の経験を共有する目的で、2005年の「国際防災・人道支援フォーラム」の提言を受け、翌2006年1月に設立されました。この10年間に、世界各国では多くの災害が起こりましたが、災害の記憶をとどめるためのミュージアムを設置し、被災経験に基づき防災・h減災を推進するという取り組みは活発になってきています。このフォーラムでは、この10年間に新たに設置された災害ミュージアムも含めてそれらの活動を紹介するとともに、災害ミュージアムを通した被災経験の語り継ぎ、そして、防災・減災について考えます。」
【プログラムから─世界の災害ミュージアムの活動紹介】
アチェ津波博物館インドネシア共和国
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1.アチェ津波博物館―ラマダニ・スライマン氏(アチェ観光庁
来たよ!いい波:バンダアチェトリップ その6
スマトラ沖地震・津波からの復興:朝倉
2011年東南アジア周遊記 インドネシア・スマトラ島編・4|Cinta 東南アジア
22万人以上が犠牲となったスマトラ島沖大地震発生から10年。犠牲者への祈りが捧げられる - NAVER まとめ

ハワイ太平洋津波博物館アメリカ合衆国
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2.ハワイ太平洋津波博物館―マーリーン・スー・ムリー氏(ハワイ太平洋津波博物館)
太平洋の真ん中に位置し、頻繁な津波来襲(1946年津波死者159名 1961年死者61名)。
資料によれば、ボランティア主導で1993年に着手。
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このような広報は、防災・減災にとても有効。
生存者へのビデオ・インタビュー、写真、新聞記事、遺留品などの収集などの推進。
↓日本にも、いい市民運動があります。
西條剛央 の検索結果 - 縁果翁記
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フェイスブックのページなど紹介
Pacific Tsunami Museum | Home
ハワイ、津波の歴史忘れぬ 島東部ヒロ、教訓後世に | 河北新報オンラインニュース
ヒロ(Hilo)の津波復興都市計画 相馬正弘


中越メモリアル回廊
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3.中越メモリアル回廊―山崎氏(長岡震災アーカイブセンターきおくみらい)
今後、東北地方に震災・復興ミュージアムのようなものを建設する場合、特に参考になると思われるのが、この中越地震(新潟県2004.10.23 M6.8 死者68名)の災害ミュージアムである「中越メモリアル回廊」の山崎さんの発表。ご所属の掲載許可を得ました。まことに有難うございます。
少し具体的に紹介いたします(発表・HPを参考にしましたが、文責はもちろん筆者にあります)。
新潟県中越地震 - Wikipedia
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最初に中越地震の発生から復興には、「地域住民の一体となった地域づくりが、行政、研究者、ボランティアの支援のもとに行われた」とのことに感銘いたしました。
消防防災博物館:調べる-7. 新潟県中越地震におけるボランティア活動の実態と課題 - ICT活用の観点から --
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新潟県中越大震災のメモリアル拠点である4施設、3公園を結ぶ中越メモリアル回廊。それは被災地・中越地域をそのまま情報の保管庫にする試みです。それぞれの拠点を巡り、震災の記憶と復興の軌跡にふれることで「新潟県中越大震災」の巨大な実像を浮き彫りにします。
そこには地震から生まれた膨大な物語があり、輝く希望があるのです。
中越メモリアル回廊は、苦難を乗り越えた人々の想いを紡ぎ揺るぎないチカラに変えて世界と未来へ発信します。」(中越メモリアル回廊HPより)
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まず、長岡震災アーカイブセンター「きおくみらい」(新潟県長岡市大手通2-6 フェニックス大手イースト2階)の紹介。中越メモリアル回廊をめぐる起点・情報集積拠点です。
きおくみらい 長岡震災アーカイブセンター | 施設紹介 | 中越メモリアル回廊 ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―
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次に「おぢや震災ミュージアム そなえ館」(小千谷市上ノ山4-4-2 小千谷市学習センター「楽集館」2階)では、地震を擬似体験し、発生から復興までをたどり、防災意識を高めます。防災研修・学習プログラムの開発。
そなえ館 おぢや震災ミュージアム | 施設紹介 | 中越メモリアル回廊 ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―

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「川口きずな館」(長岡市川口中山1441番地 川口運動公園内)では、
被災を通して生まれた数多くの「絆」を収集し、それにふれることで、新たな交流の未来をひらきます(地元NPO管理運営)。
川口きずな館 | 施設紹介 | 中越メモリアル回廊 ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―
地元NPOで運営しているのがいいです。
NPO法人 くらしサポート越後川口|「かわぐち」の元気づくりのために

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「やまこし復興記念館」(長岡市山古志竹沢甲2835(長岡市山古志支所となり))では、ふるさとにもどった山古志の人々が、新しい交流をはじめる「山の暮らしの再生の物語」(地元NPO管理運営)。「おらたる」は、「わたしたちの場所」!
25年10月 やまこし復興交流館10月23日オープン
やまこし復興交流館 おらたる ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―
今月の表紙|新潟県民だより
震度7の中越地震から9年、復興交流館『おらたる』オープンの山古志中心にまとめ - Togetterまとめ

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↓妙見地区(HPより)
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妙見・木籠(こごも)・震央メモリアルバーク
メモリアルパーク | 事業活動 | 中越メモリアル回廊 ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―
中越地震から9年目。優太ちゃん、奇跡的救出の長岡市妙見土砂崩落現場へ! - バリとゾウとゴンッ
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語り部 | 長岡震災アーカイブセンター きおくみらい ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―
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災害かたりつぎ研究塾
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そして、三つのメモリアルパークをめぐることによって、中越大震災の実像と復興の歴史を知り、未来に発信!
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ぜひ、現地へ
詳しくは、下記、中越メモリアル回廊HPをご覧ください。
中越メモリアル回廊 ― 私たちの10月23日を伝えるために。 ―
中越メモリアル回廊
実際は、どんなふうに巡っているのだろう↓
「中越メモリアル回廊」はしごしました。 | ひぐちブログ


3がつ11にちをわすれないためにセンターf:id:tentijin8:20150317184941j:plain
4.3がつ11にちをわすれないためにセンター(日本)―北野氏(せんだいメディアテーク
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2015-03-11 - 縁果翁記
かたログ(20)ゲスト:メディアテークスタッフ(甲斐賢治) - えいぞう - 東日本大震災の記録・市民協働アーカイブ|3がつ11にちをわすれないためにセンター
5.パネルディスカッション
「災害ミュージアムと防災・減災」パネリスト―発表者+高森氏(大阪大学大学院)

要項(人と防災未来センターHPより)
日 時:平成26年3月17日 17時30分~19時30分
会 場:TKPガーデンシティ仙台勾当台
主 催:Tell-netフォーラム実行委員会 事務局:人と防災未来センター
グーグル地図
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世界災害語り継ぎネットワーク(TeLL-Net)フォーラム:災害ミュージアムを通した被災経験の語り継ぎと防災・減災
TeLL-Net -世界災害語り継ぎネットワーク-

災害ミュージアム情報 TeLL-Net世界災害語り継ぎネットワーク資料などから】
人と防災未来センター
三松正夫記念館
雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)|島原市(長崎県)編|アイちゃんのあかりを訪ねて|照明器具・ランプ・光応用技術の岩崎電気株式会社
復興記念館 | 東京都立横網町公園
津波防災教育センター 稲むらの火の館
1854年 南海地震 浜口悟陵の活躍。
濱口梧陵 - Wikipedia
雲仙普賢岳の「災害ミュージアム」について
『宮城考古学』16号─特集 東日本大震災の記録(3)「雲仙普賢岳噴火災害から20年の経験と東日本大震災からの復興-特に災害の記憶を伝えるために」(鹿又喜隆)
宮城県考古学会『宮城考古学』
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【感想─災害の実像を伝える場としてのミュージアム】
とても有意義な防災世界会議でした。残念だったのは、仙台市宮城県のミュージアム施設からの参加は、メディアテーク+SMMA事務局の活躍が顕著だった以外は、やや低調に感じました。マスコミの取り上げも、この分野に関しては希薄と思えました。
災害の「実像「を次代に伝え、復興・再生の物語を紡ぎ、「防災意識を高めていく」ミュージアムの役割は、「中越メモリアル回廊」の機能など今回のフォーラムにより、より明らかになりました。
今後、その役割はハード(そこに行けば情報が得られる場)・ソフト(例えば被災物の収集とデータベース化)ともに一層、重要ものがあると考えます。そして、災害遺構(震災遺構)の保存と活用及びそれを取り巻く風土の保全が、災害ミュージアムの機能に組み込まれることによって真の防災効果が確固たるものになると考えます。その意味で、東日本大震災被災地にとってこれからが正念場です。

国連防災世界会議─震災の経験と教訓・「災害史とミュージアム」を読み解くために - 縁果翁記

地域を変えるミュージアム――未来を育む場のデザイン

地域を変えるミュージアム――未来を育む場のデザイン

メディアテークは、すでに「災害ミュージアム」の機能を果たしつつあります。映像メディア+アートに強く、震災の記録に画期的的な実績を挙げているのは周知の通りですが、そのイベントを常に把握しておくことは至難の業です。常設展示室を持たないミュージアムとも言われますが、この際、「モノ」の展示を積極的に取り込んでメディアテークらしいフレキシブルかつインタラクティブな震災展示室を設けてもよいのではないでしょうか。その有効性は、リアス・アーク美術館(気仙沼市)の常設展示(東日本大震災)などで証明されていると思います。
リアス・アーク美術館常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」、N.E.blood21 Vol. 46:千葉奈穂子 展、Vol. 47:石川深雪 展:学芸員レポート|美術館・アート情報 artscape
東日本大震災の記録・市民協働アーカイブ|3がつ11にちをわすれないためにセンター
かたログ(20)ゲスト:メディアテークスタッフ(甲斐賢治) - えいぞう - 東日本大震災の記録・市民協働アーカイブ|3がつ11にちをわすれないためにセンター
東日本大震災・ミュージアム関連情報「MUSEUM ACTION」(ミュージアムアクション)|インターネットミュージアム
03 地底の森ミュージアム(1)|レポート|MUSEUM ACTION|インターネットミュージアム


震災・復興パビリオン点景(せんだいメディアテーク)
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フクシマは、防災会議では、そっと抽象的な扱いの感あって残念な気持ち。。
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主催者・関係者の皆様おつかれさまでした。いい運営でした。
充実した開催内容・結果を、分かりやすい形でウェブなどで広報をお願いいたします(速報→報告書)。
防災 の検索結果 - 縁果翁記


+行ってみたい
仙台市広報課 の旬な情報、最新投稿画像まとめ 投稿日:2015-03-18 - 仙台観光コンベンション協会- Blend*Board
文化庁選定の戦争遺跡、32カ所が損壊 朝日新聞調査:朝日新聞デジタル