草茂りて 仏を覆う
防潮堤は浜を横断し 浜の人散り
復興道路貫き 住宅地高台に造る
堤防工事を望む。周辺は嵩上げ予定とのこと。合掌
◎本のおすすめ─金菱清『震災学入門─死生観からの社会構想』
震災学入門: 死生観からの社会構想 (ちくま新書)
「震災後いつどこかでやってくるはずの先延ばしにされた復興はついぞ実現されない。なぜなら、いま・ここの当事者の心の寸法に合わせないで、いつどこかで何かが実現されることはないからである。
死者の声に耳を澄ます
現場で暮らす人びとは、懊悩しながらも今の持ち場を守る使命を帯びている。そのなかからしか災害の復興や再生はありえない。そしてその内実を見れば、死生観そのものを問わざるをえなかった。
生者と死者の中間領域に存在する曖昧な喪失に対して、豊富化し意味を肯定的に転調させることで処する方法である。ただ災害やその後の土地利用や暮らしに押し出される被災者像ばかりではなく、声にもならない人びとの暮らしや見えないが確かに存在する生ける死者の声に耳を澄ませて聞くことができるならば、災害に打ち克つための有益な情報を得ることができるだろう。本書はその上うな願いのもと書き認めた。」(本書より)
鋭い指摘に満ちた金菱清氏の『震災学入門』。今こそ、耳を傾けてほしい。
筆者が批判した「施策者」に、指摘を取り込んでもらえるためにはどうしたらよいのか、という方法論にさらなる進化を期待したい。