『忘却の野に春を想う』とオミクロンの流行に寄せて

『忘却の野に春を想う』(姜 信子 ・山内明美)

忘却の野に春を想う
新年に
 遅ればせながら、「新年明けましておめでとうございます」と言いたい 確かに新年が明けておめでたいのだが
昨年末の新型コロナの「落ち着き」から一転して
寒波の繰り返しとともに日本中が新型コロナウイルスパンデミック第6波(オミクロン)に呑み込まれつつある。
軽症で済む人が多いということで楽観視している人々も多い。 10日現在で死者2人、重症者は100人
私のように様々な持病を抱える人、高齢者は少なくないはずで新型コロナウイルスはやはり脅威の疫病である。
「国民の話を聴く」ことを標榜する岸田政権は、新型コロナのきちんとした治療が受けられない中、自宅死が相次いだ菅政権時よりは有効な対策を立ててほしい。

新型コロナ感染者数 1月8日 NHK新型コロナ特設サイト まとめ
表紙~裏表紙 装画 大小島真木+アグロスアートプロジェクトin青森県立美術館《明日の収穫》装幀 天野昌樹

『忘却の野に春を想う』(姜 信子 ・山内明美)
そんな中、東日本大震災発生から10年10ヶ月、月命日の今日
『忘却の野に春を想う』(姜 信子 ・山内明美)が手元に届いた。
帯に「史実と今の現実を積み上げて真実に至る。
近代日本の暗所に光を注いで、差別・被差別の図を描き出す。
しかし糾弾ではない。行きつ戻りつの思索の対話。
既にこの国は廃墟であるようだが、希望はある、我々の中に。
――池澤夏樹氏」とある。
書名は朝鮮の詩人、李相和の詩からとのこと
李相和 - Wikipedia
東日本大震災後の福島県南相馬市での撮影の中でこの詩を紹介したHP「私にとっての3.11「奪われた野にも春は来るか」 韓国人写真家 鄭(チョン)  周 河(ジュハ)」を見つけた。「平成25年5月12日に、NHK教育テレビの「こころの時代」で放映されたものである」とのこと。
奪われた野にも春は来るか

 日頃、山野を歩き、土と石の造形物を見つめているだけのわたしにとって疎い世界ではあるが
豊饒な色彩の中に闇を照らすような表紙の絵に眼を奪われるとともに
ここで炙り出された人間として眼を背けてはいけないという
三陸出身の山内氏のメッセージを感じている。
『忘却の野に春を想う』で展開される世界は深く広大な近現代史の「暗部」であり、以下は本書を理解するために検索したメモから自分の関心のある中世世界などに引き付けて紹介したものである。本書に登場しないこともその繋がりから記している。

www.hakusuisha.co.jp
http://www.ohkojima.com/top.htm
大小島真木さんHP
jptca.orgå¬^Ø | Maki Ohkojima | z[y[W
表紙の気になる絵は大小島真木さん+アグロスアートプロジェクトin青森県立美術館《明日の収穫》の由

目次や内容
book.asahi.com
「日本が近代化するなかで、私たちは何を忘れ、何を見失ってきたのか? 朝鮮からのコメ難民の末裔である作家・姜信子さんと、南三陸のコメ農家に生まれ育った歴史社会学者・山内明美さん(宮城教育大准教授)が、手紙のやりとりで探究しました。往復書簡『忘却の野に春を想う』から、その「はじまり」を紹介します[前・後篇の前篇]。」(上記HPより)
〈在日〉と〈東北〉 日本近代を問う「女同志」の往復書簡[後篇] 姜信子・山内明美『忘却の野に春を想う』|じんぶん堂


 読み進めるにしたがい姜 信子さんの激烈な言葉にとまどい さてどんな方なのだろうと思ってネット検索をしてみまた。
2017年(平成29年)『声 千年先に届くほどに』で鉄犬ヘテロトピア文学賞を受賞。
www.sunnyboybooks.jp
http://www2.kumagaku.ac.jp/teacher/~masden/kyokan.html
上のカーク・マスデンKirk Masden熊本学園大学経済学科 比較文化論HPの「姜信子さんからのお手紙」には「日本に暮らすひとりひとりの幸せな生活の追求が、逆に日本という国のあり方を決めるという発想を私たちは持つこともできます。国によって割り当てられ、保証される幸せではなく、自分たちの手で国の考え方とは違う幸せを創ってゆく、それがさまざまな人々が暮らす日本という国をより良いものに変えていく力になるのだという発想 もありうるわけです。日本も韓国もその点では同じなのですが、まず国家ありきで、 それから国民の役割が決められていくという近代化のプロセスをたどりました。何が 幸せなのかということも、国が国民に教えてきました。でも、そろそろ、何が幸せなのかという基準を私たちが自分自身の中にきちんともって、それを国に教えていくという逆の流れを作っていく必要があるのかもしれません。 日本人として日本に住んでいて、今、あなたは幸せですか?」とありました。「日本」というものを(否応なく)相対的に捉える人生だったのかと思う。」
姜信子 - Wikipedia
~地の声 天の音~ かたりもの 八太夫会
猿八座 渡部八太夫
読んでみたい姜 さんの本

説経節から浪曲まで、〈声〉に担われた語り物の流れを現代へとつなぐ、創作「水の物語」。
一引き引けば千僧供養、二引き引けば万僧供養……説経「小栗判官」「さんせう太夫」「愛護の若」、八百比丘尼伝説、そして近代の浪曲とパンソリへ。
声は命を乗せて、死者たちへ、そして未来へと流れる。水は自他の境も、国境も越える。」
私は水のアナーキスト、虐げられ、虐殺された無数の死者たちの魂をカタル者、言語と制度の檻を破って、命の流れを明日へと解き放つ巫女。
【挿画・坂本大三郎】」(Amazon説明より)

南三陸町志津川 2013.6 田中則和

山内明美さんといえば、「三陸世界」を基軸とする歴史社会学研究者である。

三陸の森里海 発行者:山内明美(科研費助成金事業) 2018
こども東北学 山内明美 2011年11月 ㈱イーストプレス

こども東北学 (よりみちパン!セ)

山内明美氏の著作を最初に読んだ『こども東北学』は東日本大震災発生の年の2011「年11月に刊行されました。
「〈東北〉っていったいなんだ!?」という帯と「-被災地のきみへ-\いま、きみの目の前には、先の見えない地獄がひろがっている。」という文章から始まり、「ここでわたしたちは、あきらめるわけにはゆかない。だれもが自分のうちに持っている「あたりまえに生きようとする力を仲立ちとして、ひたすら未来を描くことを続けたい。」という力強い決意表明で締めくくられる素敵な本でした。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taikaip/73/0/73_KJ00009601468/_pdf/-char/ja;title
↑山 内明美 氏(大正 大学)「遍在す る 〈東北〉い くつ もの 名 前、い くつ もの 言葉 、そ してい くつ もの 故郷」日本教育学会第73大会 2014

「「地獄絵図のような生き死にの紡がれた歴史の中で、くり返し死の淵から再生をとげてきた場所」「東北」はきっと再生する」という言葉が印象的である。「第8章 〈飢餓〉をめぐる東京/東北(山内明美
 はじめに――〈飢餓〉のはじまりに
 1 古くて新しい土地 2 近代日本の〈稲作ナショナリズム〉 3 米騒動とアジア 4 植民地と東北 5 国有化されるコメ 6 遍在する〈東北〉
 7 稗の村と文化の闘争 むすびにかえて――東京なき時代」
近年では宮地尚子さん(文化精神医学者)との対談「環状島の水位を下げる 震災とトラウマケアの10年」「前著『トラウマの医療人類学』を継ぐ本書で、著者は「環状島」をモデルに、加害者も含め、トラウマをめぐる関係者のポジショナリティとその力動を体系的に描いた。〈内海〉〈外海〉〈斜面〉〈尾根〉〈水位〉〈風〉などの用語を駆使しながら、トラウマをめぐる全体像とあるべき方向性をしめした初めての試みである。クライアントと日々を共にする医師であり、マイノリティ問題にかかわる研究者である著者自身に必至の課題であった。」(上記HP説明より)
村上靖彦×宮地尚子【前編】違う道からケアに近づく|かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
「環状島」については宮地さんの著作の他にパンデミックについて述べられた斎藤環氏の下記がある。
note.com

山内氏のペースとなるものの一つは下記のHPによく表れている。
yamasagozain.com
三陸の文化が育む 東北人の豊かな精神性について考える」↓
http://www.miyakyo-u.ac.jp/about/publicity/pdf/hagukumi08/07.pdf
山内 明美 (Akemi Yamauchi) - マイポータル - researchmap


東日本大震災と南三陸世界
 南三陸(三陸南部)に2013年から毎週のように通っている私としては東日本大震災の大津波から間もない有様が沁みている。

2012.3.17 南三陸町歌津三嶋神社付近 田中則和
21130110 南三陸町志津川 さかなのみうら 田中則和

この本には白水社ウェブサイト連載時に掲載された貴重な写真が欠落していることが残念である。

南三陸町戸倉「奉一切有為法躍供養也」碑 田中則和拓本
行山流水戸辺鹿子躍 2013.7.27 復興市にて 田中則和


tentijin8.hatenablog.com
kanjisin.hatenadiary.org
華やかな入谷打ち囃子と入れ替わるように 鎮魂の 行山流水戸辺鹿子躍りは衰退し消滅して。。。復活した。

maturinookkake.blog.fc2.com
尊敬する祭りの追っかけさんのブログです(動画もあります)。
tentijin8.hatenablog.com
tentijin8.hatenablog.com

戸倉路のつたえ ~語り継ぐ津波の道標~西條實さん[宮城県南三陸町志津川戸倉] | 東日本大震災 RQ聞き書きプロジェクト 「自分史」公開サイト

2013.9.15 南三陸町 入谷打囃子 田中則和


tentijin8.hatenablog.com
250年の伝統とプライドが、黄金色の里に舞う入谷打囃子 - 南三陸なう

www.asahi.com

2021.3.11 南三陸町志津川 田中則和

kikigaki.rq-center.jp
田束山頂から金華山方面 | 恵の山々 | 自然の輝 | 南三陸町 VIRTUAL MUSEUM
↑お勧めサイト 南三陸バーチャルミュージアム
+山内さんは稲作ナショナリズムとか東北の冷害の研究をしている。
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/16507/
↑「自己なるコメと他者なるコメ : 近代日本の〈稲作ナショナリズム〉試論」
https://www.tamaki3.jp/blog/?p=27676

売られていぐ村 倉光俊夫 1977

倉光俊夫 - Wikipedia
「昭和四十五年、日本ではもう米は要らないといわれた。」から始まる六ヶ所村を舞台にした小説。(農業試験場に勤めていた父の遺品から)
カバー版画は「野の版画家」といわれた飯野農夫也。
飯野農夫也画業保存会 公式ホームページ


無論 三陸だけではない。
kanjisin.hatenadiary.org


日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか (講談社+α文庫)

[なぜ、日本人は自国の領空を自由に飛べないのか?なぜ、米軍機は日本の市街地の上を我が物顔で飛ぶのか?なぜ、米軍機が墜落しても日本の警察は調べないのか?なぜ、重大事故後も原発を稼働しようとするのか?そこには戦後ずっと国民の目から隠されてきた欺瞞の構図があった。日米密約の存在から、日本がいまだに「占領下」に置かれていることを白日の下に曝す。」(上記HPより)


2022.1.18読了
「あなたはいいとししていままでなにやってきたのか」を突きつけられる。
それは山内氏にとっても「苦痛で苦痛で仕方のないやりとりでした」と本中に記されている。
 気鋭の女性二人の往復書簡によって日本人の多くが意識していない、意識したくない近現代の「暗部」が、これでもかこれでもかと突きつけられる。
最後の書簡で山内さんの「「記憶に沁み入った言葉」を探しながら 土を耕していくしかないな」という言葉にほっとした。
エンディングの山内氏の横笛への思いや「祈り」や「供養」に向けてのトーンが「救い」に希望を抱かせるが
それは読者自らの「記憶に沁み入った言葉」を探る旅の始まりにもなる。
なお、「供養」とは歴史とともに意味が変化し、現代人から遠ざかりゆく言葉であるが、わたしは「大事にして寄り添っていく」意味に解している。
供養とは - コトバンク
現在の私の力では、(姜 さんの思想が理解不十分のため)一面的な理解であるが
三陸世界》を基軸とする山内明美氏が姜信子氏との往復書簡に応じて
近現代の「暗部」と格闘した先人たちのみならず「世界のパンデミック状況」に思いを馳せて、その意味について考えたものとして捉え
多くの方にお勧めしたい。また、読者の皆様にはここで展開された近現代の曼荼羅のような世界は近世。中世、さらに古代へと恐らく権力の発生から繰り替えされ連続しており、そのような理解も必要との想いからこの本に掲載されていない世界をも垣間見ていただいたしだいです。
お二人の「近代を包み込んで余りある<知>」の探求は持続する志のようだ。「世界のパンデミック状況」の解決は極めて難しいが、この本の読者が形作っていく「場」もまた、ささやかながらも希望の明かりに繋がってくるのかも知れない。
多田富雄氏(免疫学者)の言葉「僕は絶望はしていません。長い闇のむこうに何か希望が見えます。そこには寛容の世界が広がっている。」を含むNHKのインタビューを視聴する機会があって、そう思った。

www.fujiwara-shoten.co.jp
多田富雄 | NHK人物録 | NHKアーカイブス
佐藤弘弥さんのHP「多田富雄氏の最期の言葉「寛容」をめぐって」から↓
http://www.st.rim.or.jp/~success/tadatomio03.html

以下、わたしが印象に残ったテーマごとに関連本やサイトなど。
石牟礼道子・「祖像」
しばしば引用される石牟礼道子さん。若いころにお会いしたことか懐かしい。

「拙いこの三部作は、我が民族が受けた希有の受難史を少しばかり綴った書と受け止められるかも知れない。間違いではないが、私が描きたかったのは、海浜の民の生き方の純度と馥郁たる魂の香りである。生き残りのごく少数の人達と、今でもおつき合いをさせていただいている。まるで上古の牧歌の中に生きていた人々と出会うような感じである。」((「あとがき」から)上記HPより)
読書中断中。青土社 ||現代思想:現代思想2018年5月臨時増刊号 総特集=石牟礼道子

https://www2.chuo-u.ac.jp/philosophy/yoshida/tyoshi1.htm
88歳の思想史家・渡辺京二が語る「作家・石牟礼道子の自宅に通った40年」 | 文春オンライン

松岡正剛の千夜一冊 石牟礼道子 はにかみの国 石風社 2002
0985夜 『はにかみの国』 石牟礼道子 − 松岡正剛の千夜千冊
「それをかつての石牟礼道子の言葉になおせば、きっとこうなるのであろう。
 「海は死に瀕してますね、人類も」、あるいは「極端な言い方かもしれませんが、水俣を体験することによって、私たちがいままで知っていた宗教はすべて滅びたという感じを受けました」。」(上記HPより)

花ふぶき生死のはては知らざりき―里海の世界 石牟礼道子さんインタビュー 
聞き手 鎌田東二(こころの未来研究センター教授)Toji KAMAT 学術広報誌「こころの未来」第14号 2015.7
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/kokoronomirai/kokoro_vol14_p2_p13.pdf
「鎌田 水俣病など、いろいろな差別を受けてきた人たちの中にこそ未来の新しい何かを切り開いていく力と希望がある。
石牟礼 それが生まれるだろうと思います。日本列島はコンクリート詰めになっていますから、表面は息も絶え絶えですが、この前の地震で、底の方が割れ、深い地殻の底が動くだろうと思いますね。」(上記HPより)

水俣病を引き起こした行政や企業=チッソとの苛烈な闘いの果てに、自身も患者であった緒方に訪れた「チッソは私であった」という衝撃的な啓示。漁師として不知火海と語り合い、水俣病を「文明の扉」として背負い直した先に、病とともに生きる思想が立ちあがる。水俣病が生んだ伝説的名著に、石牟礼道子による緒方評「常世の舟」を増補し、待望の文庫化。」(上記HPより)
www.nhk.or.jp
bigissue-online.jp
www.chie-project.jp
一般財団法人水俣病センター相思社 - 水俣病を繰り返さない世の中をつくるために

naritaartaction.amebaownd.com
https://www.eaa.c.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2021/03/%E7%9F%B3%E7%89%9F%E7%A4%BC%E9%81%93%E5%AD%90%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%80%EF%BC%88%E5%AE%8C%E6%88%90%EF%BC%89.pdf
石牟礼道子を読む —世界をひらく/漂浪れく


金時鐘 森崎和江 いのち・祈り
姜 信子さんが引用するのは詩人の金時鐘さん
金時鐘コレクション | 藤原書店オフィシャルサイト
金時鐘コレクション(全12巻) 第2巻 幻の詩集、復元にむけて 詩集『日本風土記』『日本風土記 2』[第1回配本]

あとがきの中心になるのが森崎和江さん。

「●歴史の闇に埋もれた少女たちを描いた、傑作ノンフィクション
「からゆきさん」とは、明治、大正、昭和の日本で、貧しさゆえに外国の娼館に売られていった少女たちの総称です。第二次世界大戦後、彼女たちの存在は「戦前日本の恥部」として一般に知られることはありませんでした。本書は、関係者への綿密な聞き取り調査、当時の新聞記事など膨大な資料調査をもとに、知られざるからゆきさんの真実に迫った感動のルポルタージュです。1976年に単行本として刊行され、1980年に文庫化した話題作が、文庫新装版で復刊します。」
(上記HPより)関連して山崎朋子さんの名著「“からゆきさん"―ー戦前の日本で十歳に満たない少女たちが海外に身を売られ、南方の娼館で働かされていた。そうした女性たちの過酷な生活と無惨な境涯を、天草で出会ったおサキさんから詳細に聞き取り綴った、底辺女性史の名著新装版。東南アジアに散った女性たちの足跡をたどるルポルタージュ『サンダカンの墓』も収録 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作」(上記HPより)「「女も男と同じごと仕事しよったですばい」「どんなことにでも堂々とむかってやる、こい」。筑豊の炭鉱で働いた女性たちの声を聞き取り、その生き様を記録した一九六一年のデビュー作。意志と誇りを失わず、真っ暗な地の底で過酷な採炭労働に従事した彼女たちの逞しさが、生き生きと描かれている。(解説=水溜真由美)」(上記HPより)「わたしは父と手をつなぎ/うたいながら帰ります/夕ぐれるこの町を。さり気なくおかれたこの3行を、典型的な幼児体験のスケッチだといったんは読み過ごした読者も、つづく「とおいとおい過去のこと/朝鮮半島の雀のお宿」という2行にきて、はじめてこの詩が内包する切実なモチーフに気づくに違いない。「あれから五十余年を生きました」と詩人はいう。刑事に連れ出される父、若くして病死した母、自刃した弟。日本と朝鮮の板挟みに苦しんできた「殖民二世」のひたむきな生き方が、高度な詩的表現となって結実する。」(上記HPより)森崎和江インタビュー “生む・生まれる”ことば - researchmap 2010
file:///C:/Users/norikazu/Downloads/FO-PR-YUKI-M-5-16%20(2).pdfhttps://1000ya.isis.ne.jp/1417.html1417夜 『北上幻想』 森崎和江 − 松岡正剛の千夜千冊 北上幻想


野口遵・水力発電所・日窒コンツェルン
知らない方が何人も登場して、しかも大物で、ある意味で身近なことに驚愕。以下のHPと対照すると本書の視角とのギャップが明瞭である。
開拓者たち|旭化成100周年サイト|旭化成株式会社
野口遵 - Wikipedia
tgmech.com
1. 野口遵のおいたち|野口 遵-延岡新興の母|開拓者たち|旭化成100周年サイト|旭化成株式会社
www.chunichi.co.jp


「語りもの」
1633夜 『琵琶法師』 兵藤裕己 − 松岡正剛の千夜千冊[琵琶法師] 
「語りもの」とは「日本中世にはじまった口承文芸・音楽もしくは芸能のジャンルまたは演目」(Wiki)。
現代では衰退したこの世界にもっと触れてみたいという気持ちも蘇った。

平家物語より「祇園精舎」 /(筑前琵琶 川村旭芳)『平家物語』はこの本には登場しないが、わたしの好きな世界。

中断していた兵藤裕己氏の名著も読まなくては。
www.eaa.c.u-tokyo.ac.jp

折口信夫も繋がって
gendai.ismedia.jp
さらに
芸と道 - 松岡正剛の千夜千冊

安藤昌益

山内氏の基軸の一つは安藤昌益の世界か。
food-mileage.jp
どうも通底して現代の経済成長第一主義に問題がありそうだ。


ウイルスとグローバル資本主義
 話はグローバル資本主義とウイルスという存在に還流してくる。
疫病は都市の発生以来繰り返し襲ってきたが
新型コロナの爆発的なパンデミックグローバル資本主義と大いに関係があると思う。
www3.nhk.or.jp
人類が生き延びるためにはこのグローバル資本主義、経済成長第一主義を変革する思想が必要と思う。関連して読んでみたい本

「際限なく利潤を追求する資本主義経済が暴力的に台頭し、今日の荒廃した世界をつくりだしている。そもそも資本主義とはどのような経済なのか。それは伝統的な経済とどう違うのか。農業や共同体と資本主義の関係は? これらを平明に解き明かしたうえで、おカネに振り回されない、自然や共同体とともにある経済のかたちを構想する。その蓄積を一番もっているのは、農業だ。自然と人間の関係、労働や共同体をめぐる独自の思想を構築してきた哲学者・内山節が、2018年2月に開催された「東北農家の二月セミナー」にて語った新しい経済論。」(上記HPより)

 しかし、私自身は高邁な理論よりは、良き縁を結んでくれたのは構造構成主義を掲げた西條剛央さんの東日本大震災支援の運動にささやかながら参加させていただいたことであり、このような具体的なできることをやっていくことが大事だと考えております。

東日本大震災から10年。なかでも108名のうち74名が犠牲となった大川小学校(宮城県石巻市)の事故は、「人災」とする遺族らによる長い闘いの末、2019年の最高裁決定で教育行政の「組織的過失」が認定された。
なぜ隣接する裏山へ子供たちは逃げられなかったのか?なぜ市教委の事後対応は遺族たちに不信感を与え、その後の検証委員会も遺族らの疑問を解明できなかったのか?
震災直後から現地でこの問題に取り組み、「組織的過失」を予見していた著者が、その「失敗の本質」を明らかにし、教訓からクライシスマネジメントのあり方を提言する。」(上記HPより)


 ただ、目に見えないウイルスを研究、「常識」を衝く、自然科学ってすごいと思う。

「われわれの身のまわりにはそんな知られざるウイルスがいっぱいいる。
細菌と混同されがちだが、ウイルスは生物ではなく、「生物と物質のすきま的存在」とされる。
だが遺伝子をもち増殖していく。極小サイズで基本形は正二十面体。毒にも薬にもなる。そんな
不思議なウイルスの基礎知識から、2003年に発見された「巨大ウイルス」がひらく新しい生物
進化の可能性まで、巨大ウイルス研究の第一人者が一般向けに楽しく面白く語る。
ヒトゲノムの半分以上はウイルス由来だ。「ウイルスはわれわれ生物の創造主なのか?」(上記HPより)新型コロナウイルスの「次」に来る、動物由来のウイルスは何? 本書では批判を恐れない提言で注目されるウイルス学者が、ペットのイヌやネコが媒介するウイルス、計50頭のニホンザルが血を流してばたばた死んだ原因となったサルレトロウイルス4型など、変異すれば人間社会を脅かす可能性があるウイルスを紹介します。」(上記HPより)がん治療にも役立ちそうだ。


古代・中世への誘い
一遍聖絵』の世界とシンクロ
中世の学術的成果について近代以降が主要なテーマとなる本書ではあまり展開されていないが
そして山内氏のキーワードの「語り」「踊(躍り)」にちょうど読んでいた『『一遍聖絵』の世界 』がシンクロした。

一遍聖絵』の世界

『一遍聖絵』の世界
もっとも山内氏のもう一つのキーワードの「土を耕す」は一遍の踊念仏の世界から遠い。
本書では「非人」が登場するが、わたしも歴史学の実績を勉強しなければならない。
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/4377789/2_p001.pdf
↑山本聡美「発心の図像 : 中世仏教説話画に描かれた病と障害」早稲田大学
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/4377793/2_p041.pdf
↑末森明「中世絵画史料《遊行上人縁起絵》《聖徳太子絵伝》《融通念仏縁起絵》諸本にみる不具および犬神人の描写に関する予備的考察」
学士会アーカイブス | 会報・発行物 | 一般社団法人学士会
↑ 「日本中世の庶民生活」 網野善彦


本書では二人の女性が笛についても語る。小生の趣味から古代・中世への誘いの中にデザインしてみた。

説経 小栗判官 近藤ようこ
説経 小栗判官 (裏表紙続き) 近藤ようこ

「鞍馬の申し子と呼ばれながら、深泥ヶ池の大蛇と契り、流人となった小栗。相模の守護代の美姫ながら、父に逆らい小栗を婿にした照手。
ふたりを待つ数奇な運命とは――。『五色の舟』(原作:津原泰水)で、第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を受賞した近藤ようこが、
中世の口承文芸説経節」の中でも最大の長編「小栗判官」を、描き下ろし単行本として発表し、話題となった傑作」(下記HPより)
説経 小栗判官 (ビームコミックス)

細川涼一 女の中世─小野小町・巴・その他

女の中世―小野小町・巴・その他
目次「自立と疎外(巴小論―中世女武者の伝説;中世の捨子と女性) 単身者として(王権と尼寺―中世女性と舎利信仰;中世における尼寺の展開)
母なるもの(阿仏尼伝の一節―律宗との関係をめぐって;導御・瑳峨清涼寺融通大念仏会・「百万」)説話の形成(小野小町説話の展開)」

保立道久氏の名著。「中世の少女はこうして大人になった!絵巻物・物語文学をもとにして中世(古代)の女たちのライフサイクルとセクシュアリティに肉薄。」(上記HPより)「『女』か『稚児』か」「『異香』と『ねぶる』」「地獄の風景」など、中世の絵巻物に描かれた民衆の姿や行為、〈場〉の意味を読み解き、荘園絵図の分析を通じて地域社会の諸相を明かす。図版140点。」(出版社HP 増補版あり)

中世の隠れた主役

「中世仏教の主軸たる浄土教の展開の担い手は山の聖であった。民衆の要求と、それに応える宗教者の営みという視角から見かえす時、新たな中世人の信仰世界の実像、近世信仰にまで至る民衆の宗教史の実相が鮮やかに見えてくる。【「TRC MARC」の商品解説】」「独特の装束を身にまとい、険しい山中で厳しい修行を続ける「山伏」たちの信仰と修行のすべてが、この一冊でよくわかる。」(上記HPより)

修験の香りは法印神楽に残された(映像は雄勝法印神楽)
isono-hayama.blogspot.com
「13 蛭児(ひるこ)
西宮神社の祭神、蛭児尊の舞です。
伊奘諾尊・伊奘冉尊二柱の神は日本の国を治める神々を生みました。
はじめに天照大神、次に月読尊、次に蛭児尊を生みましたが
古事記では、一番初めに女神が声をかけて生まれた子が蛭児で海に流し、
子の数には入れないとあります)三歳になっても足が立ちませんでした。
そこで気の毒であるがと、天磐櫲樟船(あめのいわくすふね)に
乗せて海に流してしまいました。海に流された蛭児尊は西宮の主となり、
海の守りと漁の守護神として、日本の海運と漁業の振興に大きい功績を残しました。
富の豊かな恵比寿の神として、今も漁業家や商家の振興を集めている神楽です。」(雄勝葉山神社HPより)

三陸と中世
なお、『忘却の野に春を想う』は近現代史が焦点だが
三陸世界の中世以前の歴史は土と石にかろうじて残っており、その先人の営為に学ぶべしとする拙著の紹介。

『カラー新版 南三陸の山城と石塔』Amazonkindle版(電子書籍) 『南三陸の山城と石塔』は残念ながらまもなく絶版のようです。

古代・中世の横笛
日本列島に各地にかろうじて残っている祭りや神楽そして欠かせない篠笛も本書の重要なキーワード。実は古代の横笛が遺跡から出土している。
名取市清水遺跡の平安時代の横笛の復元
fusus21.exblog.jp

まほろん通信5号3ページ
福島県江平遺跡の奈良時代の横笛は神楽に関連するかもしれない!
「現段階では神楽笛との関連性 が最も強いのではないかと考えられます。6月23日、復元された横笛の演奏会が「まほろん」で開かれました。天平の音色が笛とともによみがえり、玉川村も含まれる古代白河郡の地に響きわたりました。」(まほろん通信5号)
江平遺跡
https://www.fcp.or.jp/mahoron/kiyou/pdf/2002_2.pdf
↑興味深い「福島県玉川村江平遺跡出土横笛の復元研究」(福島県文化財研究センター白河館 研究紀要2003)
発掘調査の出土品にはこのような取り組みを行い、現代文化と繋げることが重要だ。
さらに
天平の横笛、ふくしまの横笛のようす
天平の横笛、ふくしまの横笛のようす - fcp.or.jp 横笛奏者天田透氏講演
https://www.fcp.or.jp/mahoron/kiyou/pdf/edaira_tenda.pdf
天田透氏「 研究紀要に寄せて」福島県文化財研究センター白河館研究紀要2002
https://www.fcp.or.jp/mahoron/kiyou/pdf/tenda0504.pdf
天田透氏「江平の笛研究記録」福島県文化財研究センター白河館研究紀要2005
森幸彦氏と天田透氏の探求力に感心。
横笛つくりと演奏会のようす
ねずみ歯錐と竹笛作り まほろん(福島県文化財センター白河館)
green.ap.teacup.com
素晴らしい試みがあったのですね。

shinobue.co.jp
清水遺跡と江平遺跡の横笛も紹介されており、両例とも正倉院の笛に似ているとのこと。
多賀城の東西大路跡からも9世紀の笛が出土しています。
多賀城市の文化財/横笛(よこぶえ)
http://tog.a.la9.jp/higashi/bulettin/e_004.pdf
↑古代・中世の出土竹笛をめぐって((社)東洋音楽学会 第 4 号東日本支部だより 2004)
traditional-arts.org


終りに
夢・悪夢・地獄・六道
大小島真木さんの絵に似ている画家を思い出した。夢や悪夢を描いたとされるボッシュ。と覚えていたが下記の本はボス。

【美術解説】ヒエロニムス・ボス「初期フランドルの異端画家」 - Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース
地獄絵、六道絵につながる。よく見るとゾッとする…!地獄や恐怖を描いた国宝4選 | 和樂web 日本文化の入り口マガジン

死者のゆくえ 佐藤弘夫

死者のゆくえ
佐藤弘夫氏の『死者のゆくえ』は日本列島に暮らした人々の死と「供養」の変遷を考察した名著である。
https://www.ichijyo-bookreview.com/2015/12/post-1159.htmlwww.ichijyo-bookreview.com
一条真也氏の紹介。

「人間をはじめ、犬・猫、筆・針、鯨・鮟鱇、水子・英霊、将軍塚・企業墓など、ペットや身近なモノに対する信仰とその供養の意味、方法について詳説。『民具研究』『西郊民俗』『日本常民文化紀要』などの掲載論文をまとめる。」(上記HPより)
読んでみて、現代の課題とリンクするためには民俗学の枠組みを外していく必要があるのではないかと思った。


関連するお勧め本─地獄のような世界と生き延びる人々

allreviews.jp
「中世人は、すべての人間が宿業を背負っていると考えていた。仏教の世界観である六道は、三善道(天・人・修羅)と三悪道(餓鬼・畜生・地獄)とに分かれ、罪業である殺生にも善悪の違いがある。六道の中でも三悪道について、前世・現世・来世の三世という概念や、因果応報の歴史から中世人の思考を紐解き、知られざる中世仏教史の世界へといざなう。」(上記HPより)山内・姜氏の対談には登場しない中世の奴隷狩り。藤木久志先生の名著。
「飢餓と戦争があいついだ日本の戦国時代、英雄たちの戦場は、人と物の略奪に満ちていた。戦場に繰り広げられる、雑兵たちの奴隷狩り。耕してもまともに食えない人々にとって、戦場は数少ない稼ぎ場だった。口減らしの戦争、略奪に立ち向かう戦場の村の必死の営み。やがて、天下統一によりやがて戦場は閉ざされていく…。」


考古学からの自然災害と歴史探求
本書には考古学は登場しないのだが、あらゆる時代の寡黙なモノに語らせる考古学の自然災害研究の成果を紹介する。

大地からの伝言 宮城県考古学会

http://www.m-kouko.net/information/2016/02.html
大地からの伝言-宮城の災害考古学-」(2016)
宮城県考古学会では、宮城の遺跡に埋もれた自然災害の痕跡を広く一般の方にわかりやすくお知らせする『大地からの伝言-宮城の災害考古学-』を刊行しました。このたび、下記のとおり一般頒布を行ないますので、ご案内いたします。」
目 次
Ⅰ. 地中からの災害メッセージ
 1.巨大津波がやってきた!!
    縄文時代津波の跡-東松島市宮戸島里浜貝塚
    津波被害を受けた弥生水田-仙台市沓形遺跡・荒井南遺跡-
    山すそまで押し寄せた弥生津波-山元町中筋遺跡-
    コラム1:川砂と海砂
    平安時代津波跡-仙台市沼向遺跡と名取市下増田飯塚古墳群-
    地層に残された三時期の津波跡-岩沼市高大瀬遺跡-
    コラム2:慶長地震津波
 2.大地に刻まれた地震の痕跡
    地層を引き裂く水と砂-仙台市王ノ壇遺跡・北目城跡, 名取市原遺跡-
    地面が割れた! 2,000 年前の巨大地震仙台市中在家遺跡・荒井広瀬遺跡-
    陸奥国激震! 1,150 年前の巨大地震多賀城市多賀城跡・多賀城廃寺跡,仙台市陸奥国分寺跡・陸奥国分尼寺跡-
    コラム3:水と砂が噴き出した!
    コラム4:地震には強いが,雷には弱かった!政宗もびっくり!お城の石垣崩れる
 3.火山噴火がもたらしたもの
    コラム5:はるばる海を越えて飛んできた火山灰
    火山灰に埋もれた平安時代の水田-仙台市赤生津遺跡・藤田新田遺跡-
    コラム6:灰白色火山灰はいつ頃,どこから飛んできたのか
    火山灰に埋もれた平安時代の畑-仙台市中野高柳遺跡-
 4.洪水に襲われた!
    3,500 年前の洪水,その前と後-仙台市王ノ壇遺跡-
    厚い砂層に覆われた弥生の水田-多賀城市山王遺跡-
    2,500 年前,大洪水に襲われた!-大崎市北小松遺跡-
    洪水で埋もれた古墳時代の水田-仙台市富沢遺跡-
    コラム7:地すべり注意!
 5.貞観地震の復旧瓦をつくった新羅人
Ⅱ. 東日本大震災文化財

【購入申し込み】
・送料を含めた上で下記の郵便振替口座へご送金下さい。
 (郵便局窓口備付の用紙をご利用ください) 口座番号 02210-1-41792
 加入者名 宮城県考古学会 通信欄には必ず 『大地からの伝言』購入希望 と書き、冊数を明記して下さい。
・送料は2冊まで88円(国内)です。 書籍代金(1冊500 円)に加算してください。※3冊以上等の場合は事務局へお問い合わせください。
・本会刊行物は、東北歴史博物館ミュージアムショップ、仙台市博物館ミュージアムショップ、六一書房でも取り扱っています。
【問い合わせ先】宮城県考古学会事務局 〒980-8576 仙台市青葉区川内27-1東北大学大学院文学研究科考古学研究室気付FAX 022-795-6073 E メール infoアットマーク記号m-kouko.net

東日本大震災から十年。自身も被災した著者は、同地域における過去の津波痕跡を解析し、今後の津波防災のあるべき姿を模索する。」(上記HPより)こちらは保立道久氏の名著。「奈良・平安の世を襲った大地の動乱。それは、地震活動期にある現在の日本列島を彷彿させる。貞観津波、富士山噴火、東海・東南海地震阿蘇山噴火……。相次ぐ自然の災厄に、時の天皇は何を見たか。未曾有の危機を、人びとはどう乗り越えようとしたか。地震噴火と日本人との関わりを考える、歴史学からの新しい試み。」(上記HPより)近現代史にのみ目を向けると、抜け落ちてしまう沿岸のダイナミックな海の民の歴史を考古学から問う。東日本大震災発生の翌年に出版された「東日本太平洋沿岸地域の原像を求め」た平川南氏の名著。考古学が切り開く民衆史の嚆矢。
https://7net.omni7.jp/detail/1107271242
『山口弥一郎のみた東北 津波研究から危機のフィールド学へ』内山大介


「東北が受けた抑圧」は近代以降ではない。古代以降である

「列島「周縁」に湧き上がる活力、繁栄、交流 12~15世紀、奥州十三湊、琉球王国、南西の海域世界では、交易を基盤とした自立的な権力が生まれていた。京都中心の国家の枠組を越えた、もう一つの中世史。」(上記HPより)差別や抑圧が知られていないのは旧石器時代だが、地底の森ミュージアム(仙台市)で2万年前の人類の活動跡と森林跡を観ることができる。
地底の森ミュージアム ~ちていのもりみゅーじあむ~


アイヌの刀はなぜ切れなくてもよいのか。交易の民である彼らはどうして貨幣を使わなかったのか―。文字による記録を残さなかったアイヌ文化を知るためには、遺された「モノ資料」からの復元が不可欠となる。平安時代の和鏡から軍服用の米国製金ボタンにいたる遺物を取り上げ、和人との交易と蝦夷地の内国化の視点から、アイヌ文化の歴史に迫る。」(上記HPより)萱野茂 1926年~北海道生まれ。アイヌ民具・民話の収集と記録に力を注ぎ、1972年(昭和47)二風谷アイヌ文化資料館を設立。75年、古老からの聞き取りによるアイヌ民話集『ウェペケレ集大成』で菊池寛賞を受賞。私塾アイヌ語塾をひらき、小・中学生を指導。1989年(平成元)吉川英治文化賞を受賞。94年アイヌ初の参議院議員となり、アイヌ新法の制定につくした」(Amazon萱野茂アイヌの里 二風谷に生きて (人間の記録)」HPより)「米軍の核兵器をふくむ前進基地として、朝鮮戦争からベトナム戦争にいたる持続した戦争の現場に、日本および日本人から放置されつづけてきた沖縄。そこで人びとが進めてきた苦渋にみちたたたかい。沖縄をくり返し訪れることによって、著者は、本土とは何か、日本人とは何かを見つめ、われわれにとっての戦後民主主義を根本的に問いなおす。」(上記HPより)


『忘却の野に春を想う』に触発されて膨張する渦巻のように読みたい本や気になる事柄が増えていく。すごいエネルギーを持った本である。。

「難破の上ロシアに漂着、日本人として初めて世界一周しながら、あまり知られていない石巻の若宮丸漂流民。本書は200年の時空を越え、彼らの目線でその体験を伝える試みである。」(上記HPより)
石巻若宮丸漂流民の会若宮丸漂流民の概略 - 石巻若宮丸漂流民の会 -

若宮丸の足跡 若宮丸漂流民の会

http://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp/index.cfm/32,26377,c,html/26377/wakaleaflet01.pdf
石巻巻 若宮丸漂流民物物語語 初めて世界一周した日本人 石巻 若宮丸漂流民の会

田中正造 ここに在り。
「「真の文明は山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さざるべし」
田中正造がおよそ100年前に記したことばであるが、明治以来私たちが追求し、謳歌してきた近代文明とは、自然をコントロールできると考えてきた「文明」であったが、今こそ謙虚に、近代文明そのものに対する痛烈な批判を含んだ田中正造の思想に耳を傾け、自らに生き方をもういちど問うことで、あらたな生き方が見いだせるのではないか、そして、その道筋を見つけ出す助けになればというのが本書の狙いでもある。「真の文明」について考え続けた田中の思想の軌跡をたどっていく本書を読むことで現実に向き合って生きるための準備となるだろう。」(上記HPより)

この本には登場しないけど、「歴史戦」の言葉に驚いている。↑ お勧めではなく比較のために。

「生命、健康、安全などを理由として立ち現れ、その相貌を自在に変えてきた近代国家。人びとの生や死に巧みに介入し、私たちの思考を知らぬ間に取り囲む権力の所作を、フーコーはいかに描き出したのか。知と権力、認識と実践、法と規律、リスク、戦争の政治言説、統治性、新自由主義。主要な諸概念を手がかりに、歴史や論理に深く分け入り、時代の逆風に立ち向かった思想家の軌跡を追う。」(上記HPより)宮本常一「〔旅人たちの歴史〕1788年、幕府巡見使に随行した古松軒の『東遊雑記』と、1878年来日、東京から北海道まで歩いて旅したイギリス人女性、バードの『日本奥地紀行』を読む。」(上記HPより)岩手県陸前高田市。荒涼とした大地に、ぽつんとたたずむ一軒の種苗店「佐藤たね屋」。
津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一さんは、その跡地に自力でプレハブを建て、営業を再開した。
なにやらあやしげな手描きの看板に、瓦礫でつくった苗木のカート、山の落ち葉や鶏糞をまぜた苗床の土。水は、手掘りした井戸からポンプで汲みあげる。
いっぽうで佐藤さんは、みずからの体験を独習した英語で綴り、自費出版していた。
タイトルは「The Seed of Hope in the Heart」。
その一節を朗々と読みあげる佐藤さんの声は、まるで壮大なファンタジー映画の語り部のように響く。
さらに中国語やスペイン語での執筆にも挑戦する姿は、ロビンソン・クルーソーのようにも、ドン・キホーテのようにもみえる。
彼は、なぜ不自由な外国語で書き続けるのか? そこには何が書かれているのだろうか?」(上記HPより)
www.sendai-c3.jp

名著63 「宮沢賢治スペシャル」:100分 de 名著

「あの15年戦争東条英機と鋭く対立、東京裁判では「私が指揮すれば勝っていた」と豪語した。その石原莞爾戦争論が世に出て70年余になる。軍事の天才、アジアのロレンスと評されたこの軍人の「最終戦争論」とはどのようなものか。戦争の彼方に「東亜連盟結成・産業大革命断行・地下資源脱却」を説く論法に今日ふと耳を傾けさせるものがある。(毎日新聞書評より)」(上記HPより)
石原莞爾関係文書(MF:鶴岡市立図書館蔵) | 憲政資料室の所蔵資料 | 国立国会図書館

「神でも仏でもなく、中世に突如顕われた牛頭天王の謎に満ちた信仰世界を中世神話の視座から読み解き、その深層へと迫る注目の書。」(宝蔵館説明)
file:///C:/Users/norikazu/Downloads/k_1178_ej.pdfhttp://www.hozokan.co.jp/cgi-bin/hzblog/sfs6_diary/2842_2.pdf
↑鈴木 耕太郎「中世神話」としての牛頭天王 ――牛頭天王信仰に関するテキストの研究―― 「疫病退散」の霊験ゆえに今も各地に伝わる民間信仰=蘇民将来の子孫とは。
近代天皇制下に圧殺された牛頭天王の由来をたどり日本人の魂の源泉を探る。(上記HPより)
wata8tayu.hatenablog.com

疫病退散プロジェクト報告書 東北大学災害科学国際研究所 災害文化研究室

「2月11日に開催したシンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開Ⅳ―先人の疫病文化に学ぶ―」の報告書を蕃山房より刊行いたしました。報告書では、シンポジウムの報告とパネルディスカッションの内容、また付論として平川新「コロナ騒動をめぐる日本人論と日本の歴史」を収録しています。表紙は、河北新報にて『独眼龍政宗』を連載していた千葉真弓さんにデザインをしていただきました。」(下記 東北大学災害科学国際研究所 災害文化研究室HPより)
東北大学災害科学国際研究所 災害文化アーカイブ研究分野 災害文化研究室

アマビエ・プロジェクト
prtimes.jp
総じて人間の貪(貪り)・瞋(怒り)・痴(妄想・無智)により産み出された生き地獄の確かな存在。
それでも希望を捨てず、朗らかに行きたいというお二人。秀逸のラスト(あとがき)が読者に希望の光を垣間見させる『忘却の野に春を想う』でした(2022.2.14)。


【お勧め企画展】
リアス・アーク美術館
bijutsutecho.com
www.huffingtonpost.jp

kahoku.news

令和3年11月3日、石巻市博物館開館 - 石巻市
開館記念企画展文化財レスキュー 救出された美術作品の現在(いま)」
石巻文化センターで津波被災した美術作品は、「文化財レスキュー事業」によって救出され、全国の美術館で応急処置・修復・保管がなされてきました。その活動は震災から10年以上を経た現在も継続されています。
本企画展では、全国美術館会議の会員各館で行われてきた「文化財レスキュー」の活動を紹介するとともに、救出された美術作品のコレクションを一堂に展示することで、石巻市博物館が継承したコレクションの特色を再確認し、その魅力を広く発信していきます。
会期 令和3年11月3日(水曜日・祝日)から 令和4年2月27日(日曜日)まで
休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日から1月4日まで)
会場 石巻市博物館 企画展示室
観覧料 一般 500円/ 高校生 300円/ 小中学生 150円 (20名以上の団体は2割引)」(上記HPより)
石巻市の広報は地味なのでもっと宣伝してほしい。


コロナウイルスに負けないために】
 一人一人が新型コロナに負けない体力をつけることがますます大事である。高齢者向けの最良のレッスン本を見つけた。

タキミカ体操

タキミカ体操 日本最高齢インストラクターの「心まで若返る」生き方レッスン
驚異的に若々しい90歳のおばあちゃん、日本最高齢インストラクター瀧島未香さん(1931年1月15日生まれ)の「心まで若返る」というレッスン。
瀧島未香 - Wikipedia
実際に特典動画を見ながらやってみたが、そのパワフルな四股ひねりと柔軟な肩甲骨廻し(「クジャクの羽」)にはまったく太刀打ちできなかった。
やれる範囲で続けていくには絶好のレッスンとしてお勧めしたい。
↓直ぐに始めたい方に
www.nhk.or.jp
www.youtube.com


その後

新型コロナ感染者数 1月14日 NHKまとめ


オミクロン株の大流行
2022.1.23そしてやはり世界中と同じように

新型コロナ 日本・世界中で急激な感染者の増加 なぜオミクロン株は広がりやすいのか? 忽那賢志 感染症専門医 2022.1.19

日本列島は新型コロナウイルス第6波オミクロン株に呑み込まれてしまいました。

TBSニュース 2022.2.6
日テレニュース 2022.2.23


凄惨なる現世を生き延びるために

養老先生が教えてくれた。そうだったのか。。
①居心地の良い「場」を作る ↓坂口恭平
0円ハウス Kyohei Sakaguchi-
②心身のOSを変える。ただし習得に終わりはないので過程を楽しむ。私の考え。
タカミカ体操などで基礎的体力が付いてきたらお勧めは 身体開発法兼護身術でもあるステマ(歯磨きではありません)
ameblo.jp

| 呼吸法 | システマ東京 | 日本 |
とても長いブログを読んでくれて有り難うございました(2022.2.8再構成・増補)。